「AIで仕事が減る」55%は本当か?豪・韓・米は70%超えの衝撃

AIロボットの手が「JOBS」と書かれた封筒を持ち上げているイメージ。高所得国でAIによる雇用減少への懸念が高まっていることを象徴する写真

高所得国の55%が「AIで仕事が減る」と回答。豪・韓・米は70%超

独自分析

高所得国では中央値55%の人が「次の20年でAIにより仕事が減る」と考えている。オーストラリアと韓国では76%、米国では71%に達する。Pew Research Centerが2026年に実施した36カ国調査は、所得水準によってAIへの不安が大きく異なることを示した。

なぜ高所得国ほど「仕事が減る」と考えるのか?最新データが示す実態

「AIは仕事を奪うのか」という疑問は、世界中で最も共通して語られるテーマの一つだ。実際の認識は、国の所得水準によって大きく分かれている。

独自集計

Pew Research Centerの2026年調査では、高所得国18カ国の中央値が55%であるのに対し、中所得国18カ国では36%にとどまる。この19ポイントの差についてPewは、GDP per capitaとの相関係数が0.60に達すると分析しており、所得水準が高いほど懸念が強まる構造が数値としても裏付けられている。

※高所得国・中所得国の分類はWorld Bankの基準に基づく。調査は2026年2〜5月に実施。

高所得国の中でも、オーストラリア・韓国・米国の数字が中央値を大きく上回っている点に注目してほしい。

高所得国と中所得国におけるAIによる仕事減少予想割合の比較。オーストラリア76%、韓国76%、米国71%、高所得国中央値55%、中所得国中央値36%

出典:Pew Research Center「Concerns about AI are especially widespread in high-income countries」(2026年9月17日)

高所得国と中所得国、何が違うのか

高所得国の場合

オーストラリアと韓国で76%、米国で71%と、軒並み高い数字を記録している。Pewは、GDP per capitaが高い国ほど「仕事が減る」と考える割合が高くなる傾向を確認しており、シンガポールなど一部の例外を除けば、所得水準と懸念の強さはおおむね連動している。

中所得・新興国の場合

中央値は36%にとどまり、「わからない」と答える割合が34%に達する(高所得国では22%)。ケニア・ナイジェリア・フィリピンなどGDP per capitaが低い国ほど「仕事が減る」という回答が少なく、認識自体がまだ形成途上にある様子がうかがえる。

なぜこの差が生まれるのか

独自考察

この差の背景には、単に「AIを知っているかどうか」以上の要因がある。

認知度そのものの差

Pewの調査では、高所得国でAIについて「多く聞いたり読んだりしている」人が中央値50%なのに対し、中所得国では27%にとどまる。逆に「まったく聞いたことがない」人は高所得国9%、中所得国28%と大きな開きがある。認識の強さは、単純にAIへの接触量の差を反映している面が大きい。

守るものの大きさ

高所得国では、相対的に高い賃金水準や安定した雇用を失うリスクを、より強く意識する傾向がある。実際、AIによる格差拡大への懸念も高所得国で中央値35%、中所得国で22%と同じ傾向を示しており、「仕事」と「格差」への不安はセットで強まっている。

まとめ|著者が見る本質

この調査が示しているのは「実際に仕事が減るかどうか」の予測というより、「人々がどう感じているか」だ。認識の強さと実際の雇用への影響は必ずしも一致しないが、懸念が強い国ほど、再スキル教育やキャリアシフトへの関心が先行して高まる可能性がある。

著者による独自考察(2026年9月24日)

日本への示唆

日本はPewの分類で「高所得国18カ国」の一つに含まれている。ただし、国別の個別数値は今回の記事執筆時点で確認できていない。高所得国グループの中央値55%、および米国・韓国・オーストラリアの70%超という数字は、少なくとも同じグループに属する国の傾向として無視できない水準にある。

重要なのは、この手の調査結果を「不安だから何もできない」で終わらせないことだ。AIが得意な定型作業と、人間が強みを発揮する領域を整理し、複数のスキルを並行して磨くことが、今できる現実的な備えになるだろう。

よくある質問

なぜ高所得国ほど「AIで仕事が減る」と考える人が多いのか?

ホワイトカラー職の比率が高いこと、AIの認知度自体が高いこと、守るべき雇用や賃金水準が高いことが要因として挙げられます。Pew Research Centerの2026年調査では高所得国中央値55%、中所得国は36%と明確な差が出ています。

若い世代の方がAIによる仕事減少を懸念する傾向は本当か?

はい。米国では30歳未満の「仕事が減る」という回答が2024年の61%から2026年には73%まで上昇しました。カナダ・フランス・シンガポール・スウェーデンなど複数の高所得国でも、若年層が高齢層より懸念を強く示す傾向が確認されています。

この調査は何カ国・何人を対象にしたのか?

Pew Research Centerは2026年2月8日から5月13日にかけて36カ国・42,151人を対象に調査を実施しました。米国のみ別途2回の調査(2月・6月)を実施し、37カ国分のデータとして比較しています。

まとめ

高所得国の中央値55%、オーストラリア・韓国・米国で70%超という数字は、富裕国ほどAIの影響を深刻に受け止めている現実を浮き彫りにしている。この認識の差を理解した上で、個人も企業も「どう備えるか」を具体的に考える段階に入っている。

主な出典

  • Pew Research Center「Globally, More People Expect AI to Cause Job Loss Than Growth」(2026年9月17日)
  • Pew Research Center「Concerns about AI are especially widespread in high-income countries」(2026年9月17日)
  • Pew Research Center「Young adults in the U.S. are increasingly wary of AI, concerned it will take jobs」(2026年8月18日)

著者:Daisuke|確認日時:2026年9月24日 15:00 JST

著者コメント:この調査が示しているのは「実際に仕事が減るかどうか」の予測というより、「人々がどう感じているか」です。認識が強い国ほど、再スキルやキャリアシフトへの意識も先行して高まりやすい可能性があります。日本の数値はPewでは確認できませんでした。同じ高所得国グループに属する国々の数字を見る限り、無視できないデータだと感じています。